ガラクタのカタログ

あれから6年

2025年9月に訪英する機会がありました。留学を終えて帰国してからちょうど6年、久しぶりの英国は懐かしいものでした。町並みの変化はあまりなく、ロンドン地下鉄も大規模な置き換えを控えた嵐の前の静けさといった様相でした。しかし、ナショナルレールは大半の路線で新型車両の投入が更に進み、旧国鉄の車両は激減していました。2010年代後半には客車列車や吊り掛け駆動の旧型国電が跋扈していたことを思うと、まさに隔世の感です。

この国では運行会社が定期的に変わりますので、塗装変更も数年おきに実施されます。もっとも、COVID-19のパンデミックに伴う歴史的な政策変更が決定され、ナショナル・レールは2027年までに全て再国有化される計画となっているので、2030年代に入ればまた大きく雰囲気が変わるかもしれません。

この記事では仕事の合間に撮影した電車の写真を幾つか並べ、個人的な備忘録として、すっかり様変わりした車両勢力について記します。グレーター・アングリアについては、次の記事で取り上げます。


西海岸本線

2019年12月までは、赤とグレーの塗装でお馴染みVirgin Trainsが長距離列車を担当していましたが、それ以降は緑が基調のAvanti West Coastに変わっています。車両の塗装が日本ではあまり目にしない配色で、個人的には少し新鮮に感じました。


まずやって来たのは、最新鋭のクラス807電車。姉妹形式であるクラス805バイモード車両と共に、Everoという名が付けられています。いずれも2024年に運行を開始した日立製の特急車両で、当地を走っていたクラス221気動車を置き換えました。ちなみに、クラス221の一部は後述のGrand Central社に転属しています。



塗装こそ変わったものの、クラス390電車は健在でした。上述した日立の電車は5両又は7両編成なのに対し、こちらは9両ないし11両編成なので、その収容力を活かして今日も大活躍のようです。2021年から2024年にかけてリニューアル工事も実施されました。




東海岸本線

中距離列車は相変わらずGreat NorthernないしThameslinkの名で運行中。主な変化としては、クラス365電車が2021年に引退したこと、クラス387電車が他線区から転入してカラフルになったこと、Greater Angliaからクラス379電車が転入したことが挙げられますが、比較的小規模に留まっています。

他方、長距離列車は2019年と比べてそこそこの変化が見受けられました。西海岸本線と並ぶ大動脈故か、相変わらずこの国にしては力が入っている印象です。


当地の主力は日立製あずまですが、更に日立製の車両が増えており、Hull Trains社もバイモード車両のクラス802を使用していました。この他に、新興運行会社であるLUMOも、姉妹形式のクラス803電車を使用してEdinburghとKing's Cross間を運行しており、当地の長距離列車は日立の独擅場となりつつあります。



しかし、インターシティ225も少数ながら走っていました。現在の塗装は国鉄時代の意匠を意識していますが、やや赤味が強くて塗り分けも異なります。訪問時はLeeds発着列車を中心に運行されていましたが、2026年3月ダイヤ改正ではNewcastle便が復活しました。固定運用なので、見に行きたい方は事前に時刻表を調べておきましょう。

ちなみに、現時点では2028年の置き換えが計画されていますので、恐らく2030年までには引退すると思われます。



Grand Central社は相変わらずクラス180気動車を使用していますが、新顔が加わりました。クラス180の不具合が多発していることもあり、2023年にクラス221気動車(写真)を2編成投入しました。10編成いるクラス180と共通運用なので、ちょっと珍しい存在です。Grand Cenral社も2028年に日立製の新形式クラス820を投入する計画を立てており、クラス221も置き換えられそうです。

思い返せば、2019年時点でもクラス180は比較的新しい車両ながらトラブル続きで、Hull Trains社はさっさと手放したのでした。




南西本線

今も昔も定時性に難のある通勤電車が縦横無尽に走り回るエリア。2010年代までは赤を中心に暖色が目立つカラフルな車両が走っていましたが、現在は紺色とグレーを基調とする色に塗り替えられ、すっかり印象が変わりました。


通勤電車ながら、長距離列車の代走役を務めることもあるクラス450電車。South Western Railwayを代表する車両と言っても過言ではなく、Waterlooでも石を投げればすぐ当たるくらいによく見かける存在です。そういえば、このカラーリングも日本ではあまり見ない気がします。



当地の最新鋭はクラス701電車。2019年に製造されたのに、コロナ禍で導入予定が早くも延期され、地上設備との相性の悪さを解消したり、労組と折衝したりするのにやたら時間を要し、営業運転開始は2024年にずれ込みました。写真は10両編成ですが、5両編成も製造されており、ロンドン近郊の通勤路線で活躍しています。



当地で唯一赤いまま残っていたのはクラス455電車。前面に何本も太いケーブルが繋がれた、国鉄の通勤電車です。今見るとかなり古さを感じますが、これでも1980年代に製造されたもの。意外としぶとく生き残り、2026年3月に全廃されました。これにより、2010年代まで至る所で走っていた旧型国電も、ロンドンでは全滅したと言えましょう。




ヒースロー・エクスプレス

日本人の間でも比較的知名度が高いと思われるHeathrow Express。先代車両と違い、現行のクラス387電車には車体広告がないので、すっきりした銀色の塗装がなかなか魅力的です。もっとも、この列車は順光撮影地が極めて少なく、撮影困難なのが惜しまれます。

ちなみに私は今回も乗りませんでした。発着駅は市内の端だし、運賃はアホみたいに高いしで、とても乗る気にはなれません。




ロンドンを走る新型車両全てを撮影出来たわけではなく、他にも撮りたい被写体が幾つかあったのですが、仕事の都合と天候と運用状況の兼ね合いで断念しました。遊びに来ていたわけではないので、こればかりは仕方ないことですね。とはいえ、最低限見ておきたい電車は概ね一通り見て回ることが出来たので、良かったと思います。



(2026.5.10作成)