ガラクタのカタログ

スコットランドの列車群


スコットランドにおけるナショナルレールは、その名の通りScotRail社が担当しています。2022年以降はスコットランド政府が経営する事実上の公営鉄道となっていますが、私が訪れた頃はまだ民間資本でした。現在はスコットランドの国旗を模した塗装が特徴的で、特に連結面を脇から眺めるとよく分かります。スコットランドの二大都市であるグラスゴーとエディンバラを発着する中長距離列車を中心に、他の町同士を結ぶローカル運用も多数設定されています。イングランド方面への中長距離列車については、主に他の運行会社がその役割を担います。

ここでは、2019年6月のスコットランド旅行の合間にHaymarket駅で撮った写真を中心に、ざっと並べてみました。旅行中故に手抜き撮影ですがご笑覧ください。


電車

イングランドのナショナルレール各線と同様に、スコットランドの電化区間は交流2万ボルトで、概ねグラスゴー及びエディンバラ近郊に限定されています。基本的には他地域で見られない形式が多く走っており、グラスゴーでは国鉄形電車も現役ですが、今回はエディンバラだったので比較的新しいものばかりでした。


Class 385

2015年に鳴り物入りで登場したクラス385。日立製で、ScotRailの電車としては最大勢力。投入当初はトラブルが続いて新聞などに色々書かれてしまいましたが、今はすっかり落ち着きました。日立と言うと長距離列車のイメージですが、このような中距離列車にも進出しています。



Class 380

2009-11年に投入されたクラス380。ロンドンを吹くイングランドでお馴染み、シーメンス製のDesiroファミリーに属しますが、傾斜した前面と相まってかなり別物に見えます。但し格好良いと言えるかどうかは意見が分かれそうです。



Class 350

イングランドでよく見かけるDesiroはこの顔。クラス350は、ロンドンでも西海岸本線の中距離列車でお馴染みですが、スコットランドでもTransPennine ExpressがManchesterからの列車に使用していました。もともと少数派で、2020年までに全車がミッドランド地方へ転属しました。



Class 334

1999-2002年に製造されたクラス334。ロンドンから伸びる南西本線のクラス458電車の姉妹形式ですが、前面に貫通路がないので少し印象が違って見えます。




気動車

スコットランドはロンドン近郊以上に電化率が低いので、列車の多くは気動車で運行中。形式はいずれも、イングランドを含めて他の地域でもお馴染みのディーゼルカーでした。


Class 170

ロンドン近郊を除き、全国的にお馴染みのクラス170気動車。同形式を使用する運行会社の中では、ScotRailが一番多く運用しています。二大都市間はもちろん、AberdeenやInverness方面へも足を伸ばします。



Class 170

こちらは後期に製造されたグループで、前面のライト類が大型化されているのが特徴的。他にも、屋根上を始めとして製造年次による細かい差異が散見されます。



Class 156

1987-89年に製造されたクラス156。ScotRailはクラス153及び158と合わせて、いわゆるSprinterと呼ばれる国鉄形気動車を3形式使用しています。ちなみに写真はNewcastle駅で撮ったもので、このように少数ながらイングランドへ乗り入れる運用もありました。




客車列車

もちろん機関車と客車も現役。寝台列車は別としても、長距離列車では未だにインターシティ125がバリバリ現役。また、2019年当時はごく少数が普通列車にも使用されていました。


InterCity 125

インターシティ125の説明はここでは繰り返しませんが、スコットランドで完結する長距離列車にも使用されています。2018年からはリニューアル工事を施した短編成が、Inter7Cityという愛称を付けられてEdinburghやGlasgowとAberdeenないしInvernessを結んでいます。廃車が進むインターシティ125の最後の活躍の場になるかもしれません。



Class 68

2015年から20年まで、朝夕ラッシュ時のみEdinburgh近郊のFife Circle線にて、クラス68ディーゼル機関車牽引による客車普通列車が運行されていました。機関車自体は2013-14年に製造された新しいもので、ロンドンでもチルターン本線で見かけるものです。



Mark 2

客車の方はなかなかの骨董品で、マーク2客車を使用していました。同形は1964年に登場したもので、ScotRailが使っていたのは末期に投入されたグループでしたが、それでも1973-75年製の旧型車両。日本で言えば、さしずめ2010年代末に12系の普通列車が仙台駅に来るようなものでしょうか。



旅行故に日没間際の時間帯に駅でカメラを構えただけなので、きれいな編成写真の撮影とはいきませんでしたが、それでも個人的にはまあまあ楽しかったです。特に、オンボロ客車の普通列車は見ておく価値がありました。


おまけ

tram

せっかくなので、Edinburghを走る路面電車の写真も。2014年に開業し、市内の行き来はもちろん、空港に直接乗り入れることから、観光客にとってもちょっと便利になりました。この街は意外に坂が多いので、このように旧勾配での坂道発進もよく見られます。




(2022.8.12作成)