幹線観察その2―ブライトン本線
Brighton Main Lineは、ロンドンではVictoriaとLondon Bridgeの2駅を発着し、East Croydonで合流の後南下してBrightonへ向かう路線で、全長は短めです(London Bridge~Brightonは80キロ余り)。ここも例によってロンドンより南を走り、直流750Vの第三軌条方式で電化されています。運行はSouthernが主体で、定時運行に難のある全国でも悪名高い会社の1つです。なお、当路線はOvergroundやThameslinkなど他の鉄道会社の列車も運行されていますが、ここではSouthernを主に取り上げます。
当路線の花形はGatwick Express。VictoriaとBrightonの間を、途中は空港のみに停車する最速達列車(一部を除く)。ただし、通常の列車と比べて運賃は高いくせに、所要時間はほぼ同じか下手すると遅いくらいなので、実は全然割に合わない存在です。一時期は客車列車も設定されていましたが、2016年からはクラス387電車が最大12両編成で運行されていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で長期運休及び減便となり、2021年には半分以上がGreat Northern(東海岸本線)及びGreat Western Railway(グレート・ウェスタン本線)に転用されました。
ここの主力はクラス377電車。2001-14年に製造され、ボンバルディア社のエレクトロスター・シリーズの中でも一大勢力です。改造編入車を含めると、3・4・5両編成が962両あり、その大半をSouthern社が運行しています。これらを組み合わせて最大12両編成で運行されているほか、3+3+4の10連を組むこともあります。
クラス377は製造時期によって幾つかのグループに分けられており、初期グループの一部は前面灯火類のデザインが異なります。なお、同形の多くは直流区間専用ですが、西海岸本線Milton Keynesまで直通する列車には交直両用の編成が使われています。
London Bridgeからは、Uckfield方面への列車にクラス171気動車が運行されています。2003-04年に製造され、基本的には全国で広く運用中のクラス170気動車とほぼ同じですが、連結器などに違いがあります。2連と4連があり、ラッシュ時には10両編成を組みます。日本では姿を消した長編成の気動車普通列車も、この国ではバリバリ現役なのです。
各駅停車に専ら使用される国鉄クラス455電車。南西本線の各駅停車でもお馴染みの存在でしたが、前面デザインに差異が見受けられました。減便及び編成短縮によって捻出されたクラス377の転用により、2022年5月に引退しました。
おまけ
BrightonからSouthampton及びHastings方面(南岸沿い)のローカル輸送には、1976-77年製の国鉄クラス313電車が使用されています。今やナショナルレールでは最古参の電車となった同形は、かつてはロンドンでも運行されていましたが、今は3両編成でのんびり走っています。
クラス313の製造第1号編成、所謂トップナンバーも活躍中。2017年には落成当初の塗装に復刻され、ちょっと人気の存在です。法規の都合でドア部分の塗り分けが往時と異なるものの、雰囲気は十分に出ていますね。但し、当知のクラス313も置き換えの噂があり、そう遠くない将来に引退しそうな雰囲気です。
通勤路線としては割と重要な存在ながら、短期滞在者にはあまり用が無さそうなブライトン本線。在住者は別として、日本人観光客にとっては影の薄い存在かもしれませんね。
(2022.2.11作成、2022.6.17更新)