ガラクタのカタログ

幹線観察その3―テムズリンク


Thameslinkは、ブライトン本線をベースに都心を直通する列車群と、その運行ブランドです。ロンドンは方向別に多くのターミナル駅に分けられ、その間の移動は地下鉄などに頼ってきましたが、このThameslinkは乗り換えなしで目的地に行けるのが大きなポイント。日本で言うと湘南新宿ラインに近い存在と言えましょう。

路線の統廃合と拡張が進み、運行形態は複雑になりましたが、現在は概ね上の路線図のようになっています(ラッシュ時には更に延長運転されるものもあります)。2010年代半ばまでは車種豊富でしたが、今は2014-18年製のクラス700電車(8又は12両編成)に統一されています。なお、Farringdon駅では交直切替が行なわれます(北側が交流2万Vの架空電車線、南側が直流750Vの第三軌条方式で電化)。


Class700

Cambridge駅に到着したクラス700電車。ちなみに右側のクラス317電車もかつてはThameslinkの一員でした(交流電車なので北側区間の限定運用でしたが)。Cambridge発着の列車は、St Pancrasを経由して南部へ直通するものだけでなく、King's Cross止のものもあり、当路線では各駅停車の役割を兼ねています。



Class700

Peterboroughへ向かうThameslink。東海岸本線の中距離列車でもお馴染みの存在で、主に準速達タイプの列車で活躍しています。なお、ミッドランド本線の列車(St Albans City、Luton、Bedford方面)の一部は同線内各駅停車となるなど、行先だけでなく停車駅のパターンもたくさんあります。



Class700

ブライトン本線を南下してHorshamへ向かう列車。南部は第三軌条方式の直流電化区間ですから、クラス700電車もパンタグラフを下げて走ります。この区間はガトウィック空港近郊の比較的小さな駅にも幾つか停車し、Southern社の列車とは差別化が図られています。



Class700

West Coastway線を走る回送列車。ラッシュ時間帯はBrightonから先のLittlehamptonを始め、更に延長運転されるケースがあり、かなりのロングラン運用となっています。




ちなみに、Thameslinkはライバルと比べて特段に本数が多いわけでもなく、下の表のとおり必ずしも早いわけではありません。

他社
(速達列車)
Thameslink
Cambridge - London*49分65分
Peterborough - London*50分80分
Bedford - St Pancras42分60分
Gatwick Airport
- London Bridge
31分41分
Rainham - St Pancras50分1時間45分

*が付いている区間は、King's CrossとSt Pancrasを同一駅と見なしました。こうして見ると、High Speed 1が関係するRainham (Kent)とSt Pancrasの間は例外だとしても、同区間を走る他社の速達列車と比べると所要時間では見劣りします。

しかしながら、ロンドンのターミナル駅で地下鉄に乗り換えて目的地を目指すというのは、意外に手間と時間がかかりますから、都心を乗り換えなしで直通する存在は結構大きいものがあります。また、停車駅はもちろんのこと、区間によっては運賃も違いますから(特に高速鉄道)、基本的にはうまく住み分けられているようです。





(2022.2.11作成)