ガラクタのカタログ

ウェールズ旅行記2―田舎町の観光列車

イギリスには廃線跡を活用した保存鉄道を中心に、非常に多くの観光鉄道が存在します。ウェールズも例外ではなく、私が訪れたLlandudnoやLlanberisなど田舎町の観光資源として重要な存在で、ナショナルレールとは違う雰囲気の鉄道の旅を楽しむことが出来ます。たかが観光鉄道と侮るなかれ、非常に歴史の古い路線や車両も多く見受けられます。今回は、その中から私が3泊4日の旅行で訪れた3つを簡単にご紹介します。


Great Orme Tramway

Great Orme Tramwayは、Llandudnoの中心部からやや北にあるVictoria駅と、Great Ormeという標高207メートルの山にあるSummit Complex駅を結んでいます。軌間は日本でもお馴染みの1067mmで、名前の通り外観は路面電車で併用軌道もありますが、構造的には日本で言うケーブルカーです。中間部にはHalfway駅があり、ここで乗り換えとなります。全長はたった1500メートル余りですが、最高速度が時速8キロなので、乗り換えを含めると片道20分ほどかかります。


Great Orme Tramway

使用車両は、1902年の開業以来一貫して同じ車両が使用されています。木造車体で窓が無く、夏でも涼しい風が感じられます。列車の先頭には監視員がいて、時折乱入する羊や山羊に対して警笛を鳴らすほか、非常ブレーキをかけることもあります。かつては車両がもう1種類あったものの、1911年に全廃されました。1958年までは蒸気機関でケーブルを巻いていたそうです。



Great Orme Tramway

Llandudno湾を見下ろす高台でもう一枚。この町は日本人観光客があまり来ないようですが、日本人に人気のコンウィ城があるConwyに近いので、是非足を運んで頂きたい町です。ちなみに、シーズンにはかなり長い行列が出来ることもあり、その場合は町の中心部から山頂まで路線バスに乗った方が早いこともあります。私みたいに、片道だけ電車というのもアリでしょう。




Llanberis Lake Railway

Llanberisの村に2つある観光鉄道の1つで、軌間597mmのレールが4キロ伸びています。開業は1971年と比較的最近ですが、使用車両は年代物も多く見受けられます。湖沿いをのんびり走り、往復約1時間です。駅前には、ナショナルレールのBetws-y-coed及びBangor両駅から路線バスが発着しています。ちなみに、後述のSnowdon Mountain Railwayはすぐ近くで、100メートルほどしか離れていません。


steam train

ここは客車列車が運行されており、蒸気機関車3両とディーゼル機関車4両が在籍しています。SLは同じ地域にあった採石場で使われていたものが中心で、私が乗ったこの日は1922年に製造された3号機"Dolbadarn"でした。この地域にある古城ドルバダーンの名が付けられています。



wooden coaches

客車は木造のものが9両で、中はコンパートメントになっていました。9両と聞くと長そうですが、1両あたり10メートルあるか無いかなので、実際にはコンパクトにまとまっています。製造年次など詳しい情報は見つかりませんでした。なお、窓は一応ガラスが付いていましたが、空調設備などあるはずもないので、夏場以外は結構寒そうです。




Snowdon Mountain Railway

スノードン山の頂上までの7.5キロを結ぶ、イギリス唯一のラック式鉄道。1896年の開業以来、100年以上に渡って国内外の観光客を多く集める人気の登山鉄道です。軌間は800mmで、4つの中間駅があり、対向列車の待ち合わせも行なわれます。動力は、開業時からの蒸気機関車又は1980-90年代に製造されたディーゼル機関車で、運賃が異なります。かつては気動車も使用されていましたが、2003年までに全廃されました。


Snowdon Mountain Railway

ディーゼル機関車が担当する列車は、2013年製の客車を1両使用します。見ての通り、登山時には推進運転となっており、最高速度は時速8キロで、麓から頂上までは片道1時間ほどかかります。山頂駅は標高1065メートルで、ちょっとしたカフェテリアと売店があり、すぐ近くには山頂の記念碑があります。但し、いつも濃霧と強風により天候状況は悪く、酷い場合は山頂駅で下車出来ないこともあります。



Snowdon Mountain Railway

こちらが山頂駅。これは9月上旬の午後3時半なので、本来であればまだまだ夏の日差しが強く照り付けているはずの時間帯ですが、この通り濃霧で視界がかなり良くない状態でした。標高が高い上に風が強いこともあって肌寒く、長袖のパーカーを羽織ってもひんやり感じられました。もっとも、運転士の話だと、この程度の悪天候が当たり前のようです。



Snowdon Mountain Railway

こちらはディーゼル機関車の方。1991年製で、他の古い車両と雰囲気を合わせるため蒸気機関車に少し似た外観をしています。繋ぎ方ははいわゆる逆機で、安定性を保つために重い動力車を低い方に取り付けているようですが、これだけ見ると完全にバック運転で撮り鉄的には少し残念でした。




ウェールズはもちろん、全国的に数多くの観光鉄道があるので、ちょっと地方都市を旅する時は是非行ってみましょう。但し、物によっては本数が少ないうえに、冬季を中心に営業しない日も少なくないので、事前にウェブサイトで時刻表を調べるのは必須です。






(2022.10.21作成)