ガラクタのカタログ

過渡期は続くよいつまでも…TfLレール


2015年にスタートしたTfL Railも、Overgroundと同じくロンドン交通局が運営する路線で、Liverpool Street~Shenfieldを結ぶ東側区間と、Paddington~Heathrow及びReadingを結ぶ西側区間に分かれています。前者はGreat Eastern Main Lineの、後者はGreat Western Main Lineの複々線であり、それぞれ緩行線を走ります。
両区間はCrossrailに組み込まれる予定となっており、完成した暁には都心の地下鉄区間(Elizabeth Line)を介して一体化した運転形態となる計画です。その時点でTfL Railは発展的解消を遂げるはずなのですが、肝心の新線の建設が遅々として進んでいません。
両区間は、2022年5月の都心地下区間(Elizabeth Line)の暫定開業をもってようやくCrossrailの一部となり、7年間の歴史に幕を下ろしました。但し、一体化した運転形態となるにはまだ暫くかかる見込みです。以下は、2018-19年頃のTfLレール時代の記述です。


東側区間 Shenfield Branch

クラス345

クラス345

TfL Railの運行は、2017年に営業運転を開始したクラス345電車が担っています。本来は9両編成なのですが、一部駅のホーム延伸が遅れていたため、暫定7両編成でデビューしました。Overgroundのクラス710電車に似ていますが、車内はクロスシートが主体で、車両前面が黄色ではなく黒く塗られているのが大きな特徴です。




クラス315

クラス315

1980-81年に投入された国鉄電車で、TfL Rail初代車両でもあります。4連2本を繋げた8両編成での運用が基本で、東側区間における主力として活躍していましたが、クラス345に押されて運用を大幅に運用を縮小。現在は平日のラッシュ時などに細々と運行されています。



クラス315

ドアが青いくせにOvergroundで運用されるクラス315。2019年にパンタグラフの故障が原因で廃車になった1本の穴を埋めるべく、TfL Railで余剰となった編成を急遽転用した時の姿。クラス710電車が入るまでの間、Lea Valley Linesで繋ぎとしての使命を全うしました。なお、Overgroundのクラス315は、2020年に全廃されています。





西側区間 Heathrow Branch, Reading Branch

クラス345

クラス345

西側区間においては、当初はHayes & Harlingtonまでの限定運用で、保安装置の都合からヒースロー空港への乗り入れが制限されていましたが、2020年から空港発着列車にも充当されています。また、2019年末からはReadingへの運用も始まりました。現在は、暫定7連の中間に2両加えた9両編成となっています。



クラス360

クラス360

こちらは2004-05年に製造されたクラス360電車で、Heathrow Connectの名でデビュー。ノンストップのHeathrow Expressと違って幾つかの停車駅があり、その代わりにやや安い列車でした。2018年にTfL Railが承継しましたが、クラス345の空港乗り入れに合わせて運用を離脱。コロナ禍による需要激減も相まって、旅客転用は引き取り手が見つからないことから、荷物列車への転用などが検討されましたが、2022年現在は試験車両への改造が計画されています。



クラス360

ヒースロー空港用に投入された5両編成5本のうち、1本はターミナル間のシャトル列車に使用するべく、Heathrow Expressに似た銀色の塗装となっていました。もっとも、運用の都合で本線に出てくることも少なくなかったようです。この編成は残念ながら2022年に解体されたようです。




(2021.4.16作成、2022.10.21更新)

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