その他のポスト
ここでは先に取り上げた6つの紋章のいずれも描かれていない無名のポストと、金色のポストについて少しだけご紹介します。
なお、2020年にはCOVID-19に対応した医療従事者への感謝を示し、青色に塗られたポストも各地に登場しましたが、本サイトでは取り上げません(当然ながら1枚も写真持っていないので)。
無名のポスト(ヴィクトリア期)
(8-1) 今ではお馴染みの円筒形ポストが登場したのは、1879年のことでした。当初設置されたものは、ヴィクトリア女王の紋章が省略されているのが特徴。Post Officeなど他の文字も一切なく、すっきりした印象です。この時代のものは「無名のポスト(Anonymous boxes)」と呼ばれます。
(8-2) 1887年に郵便局が「手違い」を認めて方針を変更するまで、「無名のポスト」の設置は続きました。現在は全国に200本以上が残っており、大都市から地方まで点在しています。なお、ロンドンではケンジントンに多く見られます。
(8-3) こちらも無名のポストですが、トゲトゲのてっぺんが嫌でも目を引きます。この「スパイク付郵便ポスト」は、学生がよじ登って悪戯するのを防ぐ目的があったという説もありますが、他にほとんど例がないので個人的には疑問なしとしないのが本音。かつてはケンブリッジ周辺に数本あったようですが、果たして今はこれ以外に残っているのでしょうか。
エリザベス2世のポスト(スコットランド)
(8-4) エリザベスの名はスコットランドの一部で嫌われており、郵便ポストについては設置当初に爆破ないし破壊される事件が相次ぎました。エリザベス1世(在位1558-1603)を巡る歴史問題は現在も根深く残っていることから、郵便ポストについても紋章を取り付けず、王冠のデザインもスコットランドのものに替える配慮がなされています。
(8-5) 「エリザベス2世時代に設置されたスコットランド仕様のポスト」としては標準的なスタイル…なのですが、これはスコットランドどころかボーダーズからも遠く離れたロンドンの1本。予備品を全国で使い回しているためか、ごく稀にスコットランド以外の土地でもこのスタイルを目にすることがあります。
(8-6) 2010-20年代に設置された新型のランプ型ポストについても、スコットランド分はやはり他の地域とは異なるデザインとなっています。なお、チャールズ3世については特に問題なくスコットランドに設置されています。
金色のポスト
(8-7) 2012年のロンドンオリンピック及びパラリンピックで金メダルを獲得した選手を称えて、全国で110本のポスト(大半はピラーボックス)が金色に塗り替えられました。例外もありますが、大体は当該選手の出身地に設置されています。側面には説明文を記したプレートが取り付けられており、遠くからも一際目立つ佇まいです。
(8-8) 私は街を歩いている最中に偶然見つけただけでしたが、実はインターネット上で設置場所をまとめた人が複数いるようなので、金色のポストを見つけるのは容易でしょう。ちなみに、一番手っ取り早いのは、ウェストミンスター寺院の前にある1本だと思われます。
(8-9) エディンバラの中心部で見つけた1本。スコットランドにあるエリザベス2世時代のものなので、例によってデザインがスコットランド仕様となっています。この写真だと少々分かりにくいですが、投函口の左側側面に説明書きの付いたプレートが付いています。
2025年の改造ポスト
2025年には、ピラーボックス(一般的な柱状のもの)の上部にソーラーパネルを設置し、小包も投函出来るようにした新種が登場しました。既存のポストを改造して順次導入が進んでおり、こちらもいずれ撮影したいものです。
おまけ
(8-10) 郵便局にはピラーボックスやウォールボックスなどの赤いポストとは全く違うものが設置されている例もあります。あまり面白みがないように見えますが、実は年代物が転がっていることもあります。中には、設置当時の国王の紋章が付いているものもあるようです。
(2020.10.9作成、2025.9.28更新)