ガラクタのカタログ

略史と現状

略史

ロンドンバス

AECルートマスターは、ロンドンを走る赤い2階建てバスの中で最も有名な形式です。トロリーバスと従来のバスを置き換え、輸送力増強を図る目的で開発されました。1954年に試作車が落成して2年後に試験運用がスタート、1959-68年に量産車2876台が製造され、その大半がロンドンで運用されました。
最盛期は1980年代までで、それ以降は老朽化や減便により廃車が進みました。90年代には延命工事が実施された一方で在籍数は漸減。90年代末になると、老朽化に加えて安全性への懸念、燃費及び排気ガス問題、バリアフリー不適合、運転士と車掌の2人乗務による運用コストが問題となり、2005年12月に一般営業運転を終了しました。但し、市民から惜しむ声が多く寄せられたことから、後述の通り「ヘリテージ」と称する定期運用が残っています。



ロンドンバス

全長は8.4-9.1メートル、幅2.4メートル、高さ4.4メートル、重さ7.5トン。定員は57-72名。
製造年次によって様々な仕様変更がなされていますが、概ね共通しているのは軽量アルミニウム製の2階建て車体(但し内部枠組みは普通鋼)、従来車(AECリージェントIII RT)と比較して傾斜の緩やかな前面、ドアの無い客用乗降口と、丸みを帯びた独特の後部デザインなどです。多くは赤い塗装ですが、緑など他の色もありました。



ロンドンバス

2005年以降は、動態保存車が主に観光客をターゲットとした2路線で細々と運行。9系統は2014年7月をもって廃止され、それ以降は15系統の一部に残っていました。しかし、2018年度の営業係数は750を超え採算は全く取れず、これも2019年3月のダイヤ改正で毎日運行から夏季土休日のみへと大幅に運用削減。ロンドン交通局が資金難に喘いでいるところに、2020年の新型コロナウイルス感染症及びそれに伴う経済危機が追い打ちをかけ、15系統の復活は2023年10月にまでずれ込みました。
なお、観光用や団体客用に改造されたものが、ロンドンのみならず広く全国に残っており、日本でも少数が走っています。




15系統を走るルートマスター

※以下は2019年の情報です。2023年に復活したT15系統とは異なります。

では、このバスには、いつどこで乗れるのでしょうか?

ロンドンバス路線図15系統はCharing Crossとロンドン東部を結んでいますが、AECルートマスターはTower of London以西で運転されています。行先表示と実際のバス停の名前は厳密に一致しているわけではありません。一般車両と違い、旧型車両の時刻表は末尾にHeritageの頭文字が付いていることがあります(15H系統)。
2019年以降は毎年3-9月の土休日に運行されており、概ね午前9時半から午後6時半までの間に20分間隔で運行されています。但し、渋滞による遅延が常態化しているほか、道路工事やデモ等で迂回ないし運休になる日も少なくないので、事前にこちらで情報をチェックすると良いでしょう。

運賃の支払いについては、コンタクトレスカードに対応していないことを除けば、一般のバスと同じです(現金不可)。£1.50均一料金となっており、基本的にはオイスターカードが必要ですが、紙のトラベルカード等も利用可能です。




(2020.7.1作成、2023.12.2更新)



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