ガラクタのカタログ

AECルートマスター以外の2階建てバス

AECルートマスターは第一線を退きましたが、ロンドンでは今でも赤い2階建てバスが大活躍。ここではその中の一部をニュールートマスターその他の2階建てバスに分けて少しだけご紹介。


ニュールートマスター

ニュールートマスター

現在都心部の主力として運用されているのは、2011-17年に1000台が投入された"New Bus for London"、通称「ニュールートマスター」です。AECルートマスターを意識した外観で、丸みを帯びたデザインが特徴的。ハイブリッド式で排ガスも大幅に少なくなっています。現在はゾーン1を中心に運用されており、郊外ではやや少数派。



ロンドンバス

ニュールートマスターはAECルートマスターと比べて一回りほど大きく、全長11.2メートル、重さ12.7トン、定員87名となっていますが、高さと幅はほぼ同じ。乗降口が3つあるのが特徴的で、階段は前後に2か所あります。しかし、現在はドアを開けたまま走行することが出来ず、一部の市民からは失望の声が上がっています。



ユーストン駅バスターミナル

登場当初は製造コストの高さや続出する初期不良のため批判が高まり、当時のボリス・ジョンソン市長の名をとってボリスバスと揶揄されたこともありましたが、紆余曲折を経てようやくロンドンの街に馴染んだと言えましょう。
ちなみにこのバスは、乗り心地も静音性も高く冷房も割とよく効くので、個人的にはかなり気に入っています。



ロンドンバスの案内表示

ニュールートマスターを始めとする多くの現行車両には、このように次の停留所を知らせる電光掲示板とごく簡単な自動放送があります。この国のバスにそのようなものは基本的に存在せず、見知らぬ土地で路線バスに乗るのは難易度が高いのですが、ロンドンでは初めての人にも優しい存在になりました。まさに精神的革命だ。




その他の2階建てバス

赤い2階建てバス

ニュールートマスター以外にも多くの2階建てバスが走っていますが、とりわけよく見かけるのはVolvo製のB5LHやVolvo B9TLといったところでしょうか。ロンドンでは2020年以降も都心・郊外を問わず積極的にこれらの車両を投入する計画を打ち出しています。なお、これらの車種はロンドン以外でも多く運用されています。


古いロンドンバス"

これはAECルートマスターの先代にあたる、AECリージェントIII RT。1938-54年に製造され、AECルートマスターより更に一回り小さく、流線形の前面と相まって印象がかなり違って見えます。1979年に営業運転を終了しましたが、こちらも少数が動態保存されており、たまに都心部にも姿を現します。


イギリスの2階建てバス

余談ですが、2階建てバスは別にロンドンを始めとする大都市だけでなく、地方都市でも普通に乗ることが出来ます。これはケンブリッジで撮影したAlexander Dennis Enviro400という車種で、田舎道をかっ飛ばすバスの2階席から外を眺めるのはとても楽しいものです。ただし長時間乗る際は乗り物酔いにご用心。





(2020.7.19作成)



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